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醜状痕・男と女

醜状痕、男と女


私の顔には傷がある、と言っても今はあまり目立たなくなっている。
小学1年生の時、紙飛行機を追いかけて、上を向いて走った結果、鉄条網に突撃してしまったのだ。
学生の頃は、よくそのキズどうしたのかと、聞かれる事があった。

社会人になってからは、さすがに面と向かって聞く人はなくなった。
でも相手の視線がキズに向いているのを感ずると、聞かれなくても自分の方から、私は怖い人種ではありませんよと、キズの説明をして、これは男の勲章のようなものですと、自慢話にしてしまった。

そういう私は、女性の顔の醜状痕は気の毒と思っていたが、男の顔の醜状障害の等級は、低くて当然と思っていた。

ところが、男性の醜状障害等級が女性の醜状障害等級より低いのは、憲法に定めた男女平等に反し、違憲であるとの訴えを出す人が現れ、なんと国を相手に見事に勝訴したのである。

判決は、女性に対し男性の等級は低すぎて、男性に対する差別に当ると言っているが、それは表現上のことである。
判決の根底には、女性の障害等級が高い事の方が、女性に対する差別である、という捉え方が強くある。
つまり男性に対する差別ではなく、女性に対する差別であるという考えだ。

だから国は控訴もせず、地裁段階で違憲判決が確定したのだ。
国は【顔の醜状痕によって受ける精神的苦痛は、女性の方が男性に比べて大きいという、社会通念に基づいたもの】というこれまでの主張だけでは、とても差別を正当化出来ないと観念したのだ。

もし争いを続け、女性を容姿で判断するという、男尊女卑に争点が移って行ったら、藪蛇になるという打算が働いたのだろう。
逃げるが勝、とはこういう事なのだ。

1947年からというこの基準、よく疑問も持たれず、ここまで長生きしたものだ。

日本の男女同権という思想は、まだ歴史が浅く、本物になっていない事を思い知らされた。
そういう私も、男女同権は当たり前と口にしながら、男のキズは勲章とも言って来た。
社会通念に惑わされ、本質を見極める目が曇っていた。

そういう中にあって尚、この部分に光を当てた、原告と弁護団には拍手を送りたい。
こういう人達がいて、世の中少しずつ良くなっていくのだろう。


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