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二枚舌

お客様本位4

          初めから

任意基準と弁護士基準、この業界の人であれば、この意味はよく解っている。
対人賠償の慰謝料額の基準表である。

この他に自賠責基準もある。
国の管理する自賠責保険は、低廉な保険料で、広く被害者を保護する観点から、補償も最低基準を定めてある。
法律で定めた最低基準と思えばよく、それを下回る賠償額で示談したなら、違法行為となる基準である。

任意保険は、自賠責基準では賠償額を賄えない恐れがあるから、任意で掛ける上乗せの保険である。
当然そこには支払い基準があり、軽症のケース以外では、自賠責より高い基準になっている。

その基準は公表されていないが、それを基に賠償交渉が行われている。
多くの場合、保険会社の人身アジャスターという人が窓口になり、この基準の範囲内で示談している。

私は個人的には、死亡か後遺症が残るケース以外であれば、その基準でも構わないと思っている。
弁護士基準と、大きく違うわけでもなく、弁護士報酬を考えれば、どちらでも同じ位かなと思うからである。

しかし、死亡・後遺症の場合は、間違いなく弁護士を入れ、訴訟・和解の道を勧める。
多少の弁護士報酬を払っても、間違いなく手取り賠償額は上がる。

何故なら、死亡・後遺症などの基準は、任意基準と弁護士基準は大きくかけ離れているからである。

そして保険会社は、弁護士が出て来ない限り、絶対に弁護士基準は使わない。
たとえ弁護士基準表を示しても、それは訴訟の時でなければ、使わない事になっている、と訳の解らない理屈で押し通す。

それで弁護士を立てると、態度は一変、弁護士基準に近い額で和解に応じる。
ならば、初めから弁護士基準で、示談したらよさそうなものだが、相手が本当に弁護士を立てるのか、ぎりぎりの抵抗をしてみるのだ。

実際、弁護士に依頼できないで、諦める人が結構いるのだ。
だから二枚舌と言われようが、支払いを低く抑えるためには、大事な舌なのだ。

ところで弁護士基準というのは、なぜ強いのか、何故保険会社はその基準と戦わないのか?

もちろん戦いましたよ、しかし連戦連敗。
裁判所の判断は、任意基準は低すぎる、弁護士基準が妥当であるという事です。

それでも保険会社は、判例には頬かむり、未だに二枚舌を使った方が得策という考えを捨てません。
そして実際その政策は、間違いなく成功しています。
異を唱える消費者・代理店はまだ少数派で、頬かむりし黙っていれば、この情報は、広がる事はないという考えです。

弁護士基準で払ったなら、損害率は高くなり、保険料値上げも必要になるかも知れません。
全社一斉ならまだしも、自分の会社だけ値上げしたら、営業上も大打撃です。

このように、本来のお客様本位からかけ離れ、会社本位を貫かなければならないのです。
このような事情で、二枚舌・聖域は必要悪と考えているようです。

しかしその逆もあると私は思います。
この聖域を取り払い、本当のお客様本位になった保険会社が、絶対的な信頼を得る事が出来るのではないか。

それこそが、信頼回復に繋がると思うのだが。
早く勇気を持って、スタートを切る保険会社が出ないだろうか?

この二枚舌に、ハサミが迫っていると思うのだが。

        続く

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