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むち打ち その3-2

頚椎損傷


一瞬、脳裏をかすめた、事故との関係。
話を聞いていくうちに、それはこの前示談を終えたばかりの、あの事故との関連が強いと認めざるを得ず、私にとっても大きな衝撃であった。

入院した当初、めまいがして倒れたという事で、脳内科での検査を受けていたようだ。
しかし担当医が、レントゲンに写っている頚椎の部分に、なにか異常を見て取り、整形外科医に相談したのだ。

専門の整形外科医が検査をした処、頚椎の間にずれがあることが判明。
そのずれはかなり大きく、もし次に何かの衝撃を受けたら、頚椎の骨折につながる恐れがある。
手術が必要だが、神経の集中する頚椎だから、リスクもあると言われたそうだ。

ご主人はかなり動揺していた、頚椎の手術・手術のリスク・示談をしてしまった事への後悔・家庭の将来・・・・・
何よりも、具合の悪そうな妻に対する配慮より、医師の誤った判断を安易に受け入れた、自責の念が強かったようだ。

動揺しながらもこのご主人、複雑に絡む問題を、必死に整理し、打開しようとする姿勢には、一家を守ろうとする家長の、強い気迫が感じられた。

私に出来る事は、示談を無効にし、自賠責の再開手続きをする事だけである。
しかしその経験はない、それこそ体当たりの交渉である。
だがそれは気負ったほどではなく、自賠責調査事務所とのやり取りは、意外とスムーズに進み、自賠責を再開する事が出来た。

このご主人の気迫に後押しされながら、自賠責で出来る事を全て終え、後は被害者自身の加入する無保険車障害特約に委ねた。
今と違い、人身傷害など無い時代だった。
幸いな事に、被害者は専業代理店に契約しており、その後の手続きはその代理店と、連携して進めることが出来た。

このようにしてこの事故の、保険上での問題は解決する事が出来た。

しかし被害者も家庭も、その後長い【それ以後は私とも付き合いがある】苦しみを余儀なくされた。
手術が成功し退院後も、具合の悪い状態は数年続き、姑さんとの関係も悪化し、姑さんと数年間別居する事にもなった。

20年を越えた今でも、首の回転・屈曲は制限されている。

この事件は私がこの業界に入ってから、まだ初期のころの出来事だったが、大事な教訓を残してくれた。

それは、被害者の側に立った処理をする、という当たり前の事だった。
この当たり前の事を、こと、むち打ち症に関しては、最初に診察した医師も、そして私も、出来ていなかったのである。
医師にも、私自身にも、むち打ち症に対する偏見と、無理解があった事は間違いない。

本当に、むち打ち症は、慎重な扱いを必要とする症状なのだ。


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